文字情報をすべて読まなくてもわかる誘導や触感まで表現

ゲームはやっぱり操作性が大事。滑らかな動きや心地良い音とか。

さらに、戦闘の場面では、自分からの攻撃には低音から高音へ「上がる音」が、敵からの攻撃には低音へと「下がる音」が基本的に使われ、文字情報をすべて読まなくても、どちらが攻撃しているのかがアフォードされている。これらは文字や音という言葉で説明しやすい例なので、比較的わかりやすい部分だが、アフォーダンスの工夫に関しての氷山の一角にすぎない。言語化しにくい「触った感触」や「アクションに対する反応速度」に関して、初期の『ドラクエ』シリーズでは、相当の試行錯誤が行われたはずだ。

一般のゲーム雑誌などでは「操作がスムーズで気持ちイイ」といった表現しかなされないが、少なくとも「アフォーダンス」と「インタラクション」に関する日本国内ユーザーの基準は厳しい。そのことを実感したのは、私が1999年春にフランス、カンヌで開かれたゲームの展示会「ミリア・ゲームズ」でのゲーム部門審査委員長を務めたときだ。

欧米の審査員は、パソコン・ゲーム中心に、多少操作性が複雑でも内容が濃いもの、ビジュアルの派手なものを推す傾向が明らかにあった。私が評価基準を明文化しようとして、いくつかの具体例を出し、「快適なインタラクション」という軸で評価してみると、そこから挙がってきたのは、『グランツーリスモ』や『ゼルダの伝説時のオカリナ』といった日本製のタイトルばかりだった。日本製ゲームの「アフォーダンス」と「インタラクション」に関する優秀さがどこに起因するのか、単純には答えられないが、おそらく日本文化においては「触覚の解像度」が高いのだ。
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技術の向上で、ビジュアルもサウンドもバワーアップしているのは誰もが知っている。新しいタイプのゲームが少なく、シリーズものが多いという批判は間違いではないが、映画や音楽で、毎年新しいジャンルが創生されているとは思えない。「寅さん」のような定番のシリーズだけを必ず観るという映画の楽しみ方も否定すべきではない。では、何なのだろう。

端的にいえば、技術的な進歩が、一般的に必要とされる以上の飽和点に達してしまったのだ。家庭用ゲーム機の日本での普及を1983年発売のファミコンから考えると、スーパーファミコンへの移行には必然性があった。初代ファミコンの計算能力は、二次元画像においても限界があり、ユーザーは「上位機種」を求めていた。

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